近刊

景気の回復が感じられないのはなぜか

長期停滞論争

景気の回復が感じられないのはなぜか
著者 ローレンス・サマーズ
ベン・バーナンキ
ポール・クルーグマン
アルヴィン・ハンセン
山形 浩生 編訳・解説
ジャンル 経済
出版年月日 2019/04/30
ISBN 9784790717317
判型・ページ数 4-6・168ページ
定価 本体1,400円+税
在庫 未刊・予約受付中

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長期停滞から抜け出すには

元財務長官サマーズが唱えた新長期停滞論に、元FRB議長バーナンキが反論し、ノーベル経済学者クルーグマンが割って入った!
論争の様子をたどり、日本経済への処方箋を提案する、日本オリジナル編集版。提唱者ハンセンの元祖長期停滞論付き。


――はじめにより

二〇一三年から二〇一五年にかけて、アメリカでは非常におもしろい経済学上の論争が展開されていた。それがここで紹介する長期停滞論争だ。

本書は、その論争の様子をたどると共に、そこから得られる知見を整理することで日本経済の現状(と対応)についての示唆を得ようとするものだ。

この長期停滞論争は、単なるアカデミックな論争や、アメリカローカルな議論にとどまるものではなかった。当時/いまの日本を含め、世界が直面していた(そしていまだにある程度は残っている)問題を正面から考えたもので、政策的な含意も大きい。結果として、この議論は狭い意味での論争当事者(ローレンス・サマーズとベン・バーナンキ)を超えて、きわめて大きな広がりを見せた。

そしてもう一つおもしろい点として、その議論は専門的な論文にとどまらず、ブログなどで一般の人にも十分に理解できる形で展開された。これはいつもうらやましく思うことだけれど、経済学のトップクラスの学者であり、そして経済政策実務においても要職を占めてきた人びとが、こうしたブログなどの公開の場で、経済情勢や現象についての見方を非常にストレートな形で述べてくれている。それも、まだ理論化されていない漠然とした着想の段階から、それがだんだんまとまった理論になるまでのプロセスまで公開してくれることも多い。ポール・クルーグマンは自分の学者としてのキャリア形成において、ウィリアム・ノードハウスがエネルギー価格についての漠然とした着想をモデル化し、理論として完成させるプロセスを見たことがとても重要だったと述べている。英語の経済学ブログ読者は、まさにそうしたプロセスに触れられるのだ。

この長期停滞論争でも、そうした議論が深まるプロセスがとても明瞭に出ている。多くの人は(ぼくも含め)すぐに結論を求めたがる。「長期停滞論って、結局どうだったのよ。正しいの、まちがってんの?」という具合。でも重要なのは、そこで人びとが何を重視し、議論の中で何を取捨選択していったかというプロセスのほうだ。本書はそれをざっとなぞることで、まずそのプロセスの片鱗にでも触れてほしいと思う。

もちろん、結論だって大事だ。この長期停滞論争の結論は、日本経済の現状についても大きな意味を持っている。議論の中でも明示されているとおり、日本こそは文句なしの長期停滞の見本だ。本書では、アメリカは長期停滞かどうかで論争が展開されるけれど、日本については長期停滞の深刻さが疑問視されることはほぼない。だからこの本で、アメリカを念頭に展開される長期停滞への処方箋は、日本についてはなおさら重要なものとなる。アメリカFRB元議長のベン・バーナンキが日本で行った講演は、まさに長期停滞の処方箋の日本への適用をめぐるものなのだ。
はじめに
――長期停滞論争(山形浩生)

1 アメリカ経済は長期停滞か?(ローレンス・サマーズ)
2 遊休労働者+低金利=インフラ再建だ!
――再建するならいまでしょう!(ローレンス・サマーズ)
3 財政政策と完全雇用
(ローレンス・サマーズ)
4 なぜ金利はこんなに低いのか(ベン・バーナンキ)
5 なぜ金利はこんなに低いのか 第2部
――長期停滞論(ベン・バーナンキ)
6 なぜ金利はこんなに低いのか 第3部
――世界的な貯蓄過剰(ベン・バーナンキ)
7 バーナンキによる長期停滞論批判に答える(ローレンス・サマーズ)
8 一国と世界で見た流動性の罠(ちょっと専門的)(ポール・クルーグマン)
9 なんで経済学者は人口増加を気にかけるの?(ポール・クルーグマン)
10 日本の金融政策に関する考察(ベン・バーナンキ)
11 経済の発展と人口増加の鈍化(抄訳)(アルヴィン・ハンセン)

解説
――長期停滞論争とその意味合い(山形浩生)

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