近刊

奴隷・骨・ブロンズ

脱植民地化の歴史学

奴隷・骨・ブロンズ
著者 井野瀬 久美惠
出版年月日 2025/03/20
ISBN 9784790717973
判型・ページ数 4-6・272ページ
定価 2,970円(本体2,700円)
在庫 未刊・予約受付中

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過去につながり、今を問え!
BLM運動が糾弾する奴隷制の歴史。アイルランド移民の軌跡を物語る遺骨。欧米の博物館を揺るがすベニン・ブロンズ。「知の脱植民地化」の最前線へ。

【「はじめに」より】
 歴史とは「現在と過去との不断の対話」だと、イギリスの歴史家E・H・カーはいう。問いかける「現在」が変われば、「過去」に対する見方も変わる。その意味で、過去は死なない、なくならない。過去は、現在の出来事や今を生きる人びとの記憶と呼応しながら、ふとした瞬間に顔をのぞかせる。それは、私たちが何かの拍子に、ふと昔の出来事を思い出すのにも似ている。私たちはみな、どこかに過去を抱きながら、今を生きている。だから、過去を考えることは、現在を、未来を、別の角度から見つめることにほかならないのである。
 ただし、「何かの拍子」がいつ訪れるのか、予測するのは難しい。だから、問わねばならない。数多の過去の記憶のなかで、なぜ今、突然、「その記憶」が思い出されたのか。そうやって想起された過去は、今の私に、私たちに、何を伝えようとしているのか。
 過去は突然、私たちの眼前に立ち現れる。先が読めないのは、未来だけではない。過去もまた、予測不可能なのである。そして、本書の各章をつないでいるのは、まさにこの感覚――突然の過去、である。

★本書はwebマガジン「せかいしそう」の連載「過去につながり、今を問え!」の書籍化です。連載の一部を試し読みできます
第2回 ブリストルのコルストン像、引き倒される!(1)――BLM運動がたぐり寄せる過去
第8回 突然の過去(1)――骨が語るアイルランド大飢饉
第14回 ベニン・ブロンズとは何か?(1)
はじめに
第1章 ブリストルのコルストン像、引き倒される! 
第2章 骨が語るアイルランド大飢饉 
第3章 レディ・トラベラーへの旅 
第4章 カリブ海の近代と帝国の未来 
第5章 ベニン・ブロンズとは何か? 
おわりに 
関連年表
参考文献

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