芥川龍之介を学ぶ人のために

《芥川龍之介》を自明のものとしない ― この確認から出発した本書は、各論稿の個性を主張するにとどまらず、一方が他方を補完したり、逆に批判し合う体の、一種の有機性をもつ構造体となっており、かつ芥川研究の現在をするどく照射する。

芥川龍之介関連地図
I　芥川龍之介の世界
　今、アクタガワとどう向き合うか … 浅野 洋
　　 ― 「作者」のゆくえ ―
　１　契約の中の「芥川龍之介」 … 篠崎美生子
　　 ― 家族・読者との間で ―
　２　引用とオリジン … 佐藤秀明
　　 ― 『今昔物語集』とは何であったのか ―
　３　闇の物語、物語の闇 … 三嶋 譲
　　 ― 非合理への親炙 ―
　４　女性のまなざし、女性へのまなざし … 中田睦美
　　 ― 「秋」とセルロイドの窓 ―
　５　非「文学」世界とのリンケージ … 神田由美子
　　 ― 芸術と芸能の交流 ―
　６　大正期の文壇ネットワーク … 浅野 洋
　　 ― 「学校」という名の神話 ―
　７　遠くて近きは … … 芹澤光興
　　 ― フルサトの芥川龍之介 ―
　８　「何か微妙なもの」とは何か？ … 井上洋子
　　 ― 鴎外評価と〈詩的精神〉 ―
　９　ウソがマコトで、マコトがウソで … 芹澤光興
　　 ― 情報社会と芥川龍之介 ―
　10　同時代史の中の芥川 … 松本常彦
　　 ― 芥川龍之介と「歴史」の問題 ―
　11　僕の魂のアフリカ … 花田俊典
　　 ― 芥川龍之介の自我と身体 ―
　12　芥川の〈遺書〉 … 矢本浩司
　　 ― 横光利一を合わせ鏡として ―
II　主要作品研究史
芥川龍之介略年譜／索　引