災害論

安全性工学への疑問

災害論
著者 加藤 尚武
ジャンル 哲学・思想・宗教
シリーズ 世界思想社 現代哲学叢書
出版年月日 2011/11/10
ISBN 9784790715412
判型・ページ数 4-6・216ページ
定価 1,980円(本体1,800円)
在庫 在庫あり

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「絶対安全」と言われたフクシマ原発事故の原因は、技術体系と責任制度のミスマッチにあった。技術の暴走はなぜ起こり、どうすれば止められるのか。原発事故の原因究明から復興の倫理まで、未来世代への責任という視点から原発問題を考える。
まえがき

第1章 自然の合目的性について
1 自然に内在する目的性はない
2 自然における神の意志
3 種の創造と保存
4 自然の合目的性は比喩である
5 因果性と偶然
6 三陸津波の教訓

第2章 原子力発電のコスト
1 原子力発電のライフ・サイクル・アセスメント
2 核融合技術開発へのメリット
3 予防のコスト
4 期待損害以下という基準

第3章 確率論的合理性の吟味
1「合理的な期待」とルイス
2 竹内啓『偶然とは何か』を読む
3 パースの偶然論

第4章 「安全」と「安心」の底にあるもの
1 国家と安全
2「完全義務」と「不完全義務」
3 安心の二つの見方
4 安全の情報依存性
5 自然主義の破綻、歴史のない自然はない
6 技術の歴史性
7 高レベル放射性廃棄物の処理

第5章 過失責任と無過失責任
1 故意、過失、無過失責任
2 予見可能性と責任
3「原子力損害の賠償に関する法律」
4 無過失責任と確率論的安全評価

第6章 「原子力ムラ」の存在
1「レトリカルな主張」とハザード・マップ
2 公聴会の報告
3 テクノ・ファシズムとテクノ・ポピュリズム
4「原子力報道を考える会」
5「原子力ムラ」の信条
6「アテネ型民主主義だからあぶない」

第7章 国家と原子力
1 特別保護区としての電力・原子力
2 事故調査委員会
3 国家間パワーシフトとしての原子力産業

第8章 情報とコミュニケーション
1 原子力発電所事故とリスク・コミュニケーション
2 楽観的情報と悲観的情報
3「もんじゅ事故」の際の情報方針
4 情報の三つの形
5「日本ではチェルノブイリ発電所事故は起きない」

第9章 原子力問題に関する国民的な合意形成は可能であるか    
1 未来世代への責任
2 国民的な合意形成への科学者集団の寄与
3 足して二で割るから五〇点
4 未来世代への危険
5 国民の理解度
6 リスクと同意
7 専門性と外部性
8 間接民主主義の擁護論

第10章 復興の倫理
1 災害からの立て直しについて
2 積極主義の必要
3 大規模開発と私的所有権
4 徳論の観点から見た災害と復興

参考文献
あとがき
初出一覧
人名・書名・作品名索引/事項索引

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