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ローカルボクサーと貧困世界〔増補新装版〕 (電子書籍)

マニラのボクシングジムにみる身体文化

ローカルボクサーと貧困世界〔増補新装版〕
フォーマット:
電子書籍 単行本
著者 石岡 丈昇
ジャンル 社会
出版年月日 2024/01/17
Cコード 1036
判型・ページ数 A5・396ページ
定価 3,960円(本体3,600円)

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ミットを叩く音。空腹。汗が飛ぶ。


◇推薦の辞より
日本の興行にも必要な「敗者」を供出する、フィリピンの貧しいボクシングジム。ここで著者が寝食を共にした裸一貫の拳士たちの、真の闘いに注目せよ。もう、財力にお膳立てされた「スポーツ」が物足りなくてしょうがない。――藤原辰史(歴史学者)


寝食を共にするフィールドワークによって描き出された、ボクサー達の生き様。国際的なマーケットに組み込まれ、闘い続ける彼らはどんな人生を生きるのか。徹底的な調査は、貧困世界を生き抜く彼らの「尽きなく在ろうとする意志」を見つめる。
岸政彦氏による解説、ボクサーたちのその後を描く「後章」を加えた、待望の増補新装版。

……………
読者はこうして、著者とともに、マニラ郊外の片隅にある小さなボクシングジムの扉を叩くことになる。屈託のない笑顔でどこにでも入り込み、誰とでも友だちになる石岡丈昇に釣れられて、私たちも「ローカルボクサー」の世界に入っていくのだ。そこでは貧しい若者たちが、夢をつかむわずかなチャンスにすべてを賭け、過酷な減量とトレーニングに耐え、ひたすらサンドバッグを叩く。

本書で描かれているのは、「貧困に耐えかねた若者たちが夢を掴むためにボクシングジムに入る」という単純なストーリーではない。ここで問われているのは、「人々はどのようにして生きているか」という普遍的な問いだ。まるで、息を止めて冷たく暗い夜の海に深く潜るように、石岡丈昇は現場に入っていく。

ーー岸 政彦(社会学者) 解説「時間/身体/人生」より
……………


★webマガジン「せかいしそう」で「第4章」と岸政彦先生の「解説」の一部を試し読みできます

★刊行記念トークイベントはこちらから読めます
石岡丈昇×津村記久子×藤原辰史 『ローカルボクサーと貧困世界〔増補新装版〕』刊行記念スペシャル鼎談(前編後編
序 章 ローカルボクサー世界から
1 ローカルボクサーの社会学
2 貧困世界とのつながり
3 住み込み調査と身体文化への着目

第1章 ローカルボクサーの身体文化への方法的接近
1 ローカルボクサーへの接近
2 第三世界スポーツ論の問題構制
3 「スポーツ社会学のための計画表」と二重のフレーミング論
4 マニラ首都圏のローカルボクサーへ

第2章 ボクシングジムの空間構成
1 Eジムのボクサーと非ボクサー
2 Eジムのコンテクスト
3 ボクサーの属性
4 〈全体的空間〉としてのジム

第3章 ボクサーになる――集団競技としてのボクシング
1 ジムの日常の深みへ
2 ボクサーになる
3 ジムワークにみる実践理性
4 サクリフィショという倫理
5 女性の排除形式
6 集団競技としてのボクシング

第4章 ボクシングマーケットの構造――敗者の生産の仕組み
1 ボクシング試合と敗者の生産
2 試合をめぐるボクサーの性向
3 ボクシングマーケットの政治経済
4 国際試合の交渉過程と「敗者の生産」
5 ボクシングキャリアの分類化
6 社会的選別と身体のトレード

第5章 互酬性の中のボクサー身体――引退ボクサーの日常
1 引退ボクサーの日常へ
2 スクオッターを生きる
3 スクオッター生活の窮状
4 引退ボクサーの暮らし
5 互酬性の中のボクサー身体

終 章 裸一貫のリアリティへ
1 ローカルボクサーの生活実践
2 裸一貫のリアリティを見据えた身体文化研究へ

後 章 その後のボクサーたち
1 ラフィ――単身での子育て、そして料理人へ
2 ステラ――フィットネスジムの運営を軌道に乗せた敏腕経営者
3 ロセリト――フィットネストレーナー、妻子の移住、女子ボクシング
4 ロイ――総合格闘技、中国への移住
5 ジェイソン――日本への移住

注/あとがき/増補新装版あとがき/図表一覧/文献/索引

解 説 時間/身体/人生 (岸 政彦)

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