メディア教育宣言 (単行本)
デジタル社会をどう生きるか
メディア・リテラシーをアップデートせよ!
「スマホの悪影響から子供を守る」は正解じゃない。
ソーシャル・メディア、フェイクニュース、プラットフォーム資本主義の時代にこそ批判的思考を。新時代の批判的思考と実践力を身につける!
本書の特徴
○著者は、国連、ユネスコ、ユニセフ、欧州委員会、英国政府のコンサルタントを務めるメディア教育の第一人者
○メディア教育の目的と原則を概説し、変化するメディア環境にどのように対応すべきか、具体的で実践的な教え方の戦略を提示
○メディアと教育にかかわるすべての人の必読書
1章(抜粋)
若者たちは今や1週間のうち1日相当の時間をスマートフォンに費やし、
少なくとも毎日150回はスマートフォンをチェックしている。
モバイル機器、パソコン、タブレット、テレビも含めると、
10代の若者は1日に約9時間、画面を見つめて過ごしているのだ。
さらに、画面を閉じているときでさえ、
メディアは、とくに広告やマーケティングのかたちで、
私たちの視界に入り込んでくる。
そして、私たちはたいてい、
これらを疑うことなく受け入れている。
コミュニケーションの多くがメディア化されたものである
という事実は、ほとんど注目されないのである。
解説(抜粋) 水越伸
本書の構成は次のようなかたちをとっている。まず現在のメディア環境を概観し、それに関わるメディア・リテラシーの現状と問題点を浮き彫りにする。次にメディア教育を幅広い社会的、学問的文脈のなかに位置づけ、伝統のなかで培われたメディア教育のエッセンスを生かしながら、デジタル・メディア、わけてもソーシャル・メディアに取り組んでいくための立ち位置と道具立てを確かめる。そのうえでソーシャル・メディアをめぐってどのような実践的教育が可能かを例示してみせる。最後に、GAFAなどプラットフォーム企業が台頭する状況に対して国家はどのように取り組むべきかという政策論的な絵図のなかで、メディア教育の今後の可能性と限界を指し示す。
〔中略〕
プラットフォーム企業が幅を利かせ、極端化した政治的意見がソーシャル・メディア上にはびこる現在のメディア環境を鷲づかみにしつつ、他方でメディア・リテラシーの陥った窮状を俯瞰的、かつ建設的に批判できる腕っ節がある人物は、イギリスのメディア教育においてバッキンガムをおいて他にいないのではないか。少なくとも、フェイクニュースやヘイトスピーチの時代にメディア・リテラシーが再び注目されているなどといって嬉々としている「その他一堂」とは、格が違う。痛快さというべきものを、私は読み終えて感じた。
〔中略〕
教育の現場で本当に大切なのは理論そのものではなく、その理論を使いこなし、人々に気づきと学びの機会を与えることだろう。バッキンガムはそれをやってみせてくれているのだ。
〔中略〕長く読み継がれる古典となるだろう。
webマガジン「せかいしそう」では、本書の「1章」および「解説」の一部をためし読みできます。
序
1 変化するメディア環境
2 利害を超えて
3 メディア・リテラシーの限界
4 より大きな構図
5 批判的にいこう
6 いかに教えるべきか――落とし穴と原則
7 ソーシャル・メディアを概念化する
8 メディア教育の実践
9 実現できること
結び
原注
訳注
解説 水越伸
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(本体1,800円)