それでもなおユダヤ人であること

ブエノスアイレスに生きる〈記憶の民〉

それでもなおユダヤ人であること
著者 宇田川 彩
ジャンル 人類学・民俗学
出版年月日 2020/09/30
ISBN 9784790717447
判型・ページ数 A5・312ページ
定価 4,180円(本体3,800円)
在庫 在庫あり

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重いリュックを背負って、しなやかに歩む!

旧約聖書の時代から

ディアスポラとして暮らしてきた彼らが、

今もユダヤ人であり続けるのはなぜか?

 

ある場所からの出立は、ユダヤ史において繰り返されてきた光景であった。

出エジプト、バビロニア軍による追放(第二次バビロン捕囚)、

ローマ軍の侵攻で第二神殿が崩壊した後の各地への離散(ディアスポラ)、

レコンキスタ後のイベリア半島からのユダヤ人追放、

ナチスのホロコーストからの逃亡……。

 

ユダヤ人の歴史の長さと重みに比して、

著者がアルゼンチンで出会ったユダヤ人は、

ブエノスアイレスの自由な空気を享受し軽やかに生きているように見えた。

きわめて厳格な宗教法にもほとんど拘束されない。

それでもなおユダヤ人であるのは、なぜ・どのようにしてなのか。

きわめて曖昧ながらもたしかに存在する、現代に生きるユダヤ人の生き方を描く。

 

 

ユダヤ性の核心に迫り、

ユダヤ人やユダヤ教のイメージを覆す

ユダヤ人の生活に2年間密着した長期調査にもとづく

日本で初めての、ユダヤについての文化人類学の本。

世界的にも、文献調査を中心としないユダヤ学の本は珍しい。

 

イスラエル在住経験もある著者が、

敬虔ではない、世俗的ユダヤ人にフォーカスする。

 

ユダヤ教の教義や原理原則が、

実際の生活や儀礼のなかでどれだけ尊重され、

どれだけ換骨奪胎されているのか。

それでもなお残っているものは何か。

すべての皮をむいた後に浮かび上がる

ユダヤ性の核心に迫る。

はじめに

序 章 ディアスポラと記憶

第Ⅰ部 ブエノスアイレスのユダヤ人が生きる現在
 第1章 ユダヤ人とは誰か
 第2章 ブエノスアイレスのユダヤ人

第Ⅱ部 ユダヤ人の住まい
 第3章 おばあちゃんのチキンスープ――ユダヤ法と家庭の味
 第4章 過ぎ越し祭の「順番」と物語

第Ⅲ部 ユダヤ人の記憶
 第5章 家の中で想起される記憶
 第6章 「私たちの記憶」のありか――AMIA爆破テロの記憶とアーカイブ

第Ⅳ部 重さと軽さの只中で
 第7章 「ユダヤ的」な重みから逃れる
 第8章 本を放ち、軽やかに歩く

終 章 それでもなおユダヤ人であること

  コラム1 多弁なフィールドでの語り
  コラム2 アルゼンチンのユダヤ人の恋愛・結婚
  コラム3 正統派の台頭
  コラム4 アルゼンチンからイスラエルへ


年表
参照文献
人名索引
事項索引

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