隠された国家

国家をめぐる文化社会史 ― 近代的世界は、暴力を掌握した国家＝父なるものの出現と不可視化とともにはじまった。そのことによる人間精神の力動の再編を、近世日本の演劇のなかにたどる、社会学者の未踏の試み。

序　章
第一章　方法論 ― 悲劇のなかの願望 ―
第二章　中世日本の物語 ― 説経にみる迫害と復讐 ―
第三章　十七世紀における世界観の転換と主体の形成
第四章　十七世紀後半における自己抑制的主体の登場
第五章　復讐の物語にみる父殺しの感情 ― 十八世紀前半の敵討物 ―
第六章　国家の力、心の真実 ― 近松の心中物 ―
第七章　石門心学にみる民衆道徳の洗練
終　章