近刊

学ぶことが仕事

博士という生き方

学ぶことが仕事
著者 三宅 香帆
ジャンル 社会
出版年月日 2026/11/10
ISBN 9784790718154
判型・ページ数 4-6・200ページ
定価 1,980円(本体1,800円)
在庫 未刊・予約受付中

この本に関するお問い合わせ・感想

「人間は、学びたいと思いすぎると、むしろ、えらいと言われなくなっていくのである」

ベストセラー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の著者・三宅香帆、初のルポルタージュ!

 

治験バイトで1日約10回の採血、エンドレスの遺伝子実験、研究室に寝泊まりして結婚、偏差値80の秀才が「自分はダメだ」と絶望する――。

世間から「えらい」と言われる新卒就職の道を捨て、なぜ彼らは「博士課程」という道を選んだのか?
そして、博士号を取った先に、どのような仕事と人生が待っているのか?

自身も博士課程を経験した著者が、文系・理系を問わず、知られざる博士(ドクター)たちのリアルな日常、生活費、恋愛・子育て、そして修了後のキャリア(アカデミア・企業・行政など)を徹底取材。

「イノベーション推進」の陰で困窮やポスト不足に直面する博士たちの姿を通じ、効率やコスパが重視される現代社会において、「時間をかけて深く学ぶこと」の意味と、学びを支える社会のあり方を問い直す一冊。

 

本書のポイント

研究者たちのリアル:休む暇もない研究生活、大学院生のお金事情
ライフイベントとの両立:恋愛・結婚・子育てという難題
多様なキャリアパス:大学に残るのか、企業・行政に行くのか、それとも第3の道か
社会的評価と課題:企業や社会は「博士」をどう見ているのか

 

「はじめに」より

勉強していると、えらいね、と大人に声をかけられたことがある。
小学生一年生の時だ。祖母の家で夏休みの宿題をやっていたら、えらいねえ、と微笑まれた。おお、えらいのか、とそのとき思った。たしか国語の宿題をやっていて、苦痛でもなんでもない課題だったのだが、少しばかり嬉しかった記憶がある。学生が勉強するのはいいことだ。学ぶことはよろこばしいことである。
だが、それから十五年ほど経って、そんな記憶も遠くなる。
人間は、学びたいと思いすぎると、むしろ、えらいと言われなくなっていくのである。

本書は「えらい」と世間から言われるだろう程度を超えてでも、それでも学びたいと思った人々――「博士後期課程」、いわゆるアカデミアと呼ばれる世界に飛び込んだ人々に取材し、できた本である。
といっても、アカデミアにいる人たちをモラトリアムで楽しんでいる人々として描写するつもりは毛頭ない。
むしろ、なぜ彼らはアカデミアを選んだのか。そしてその後、社会的にどのような立場で仕事をすることになるのか。そこに焦点を当てた一冊である。

つまりは、「学ぶことを仕事にした」研究職という仕事の内実を伝えようとしている。

はじめに
まえがき なぜ私が本書の執筆者? とあなたも思ったことでしょう
第1章 文系博士はこうして生まれる
1.夜からはじまる/2.マングローブのたくましさ/3.だけど、弁護士にならなかったのは理由がある/4.国際協力は今この現実から
第2章 理系博士のクレイジー・ジャーニー
1.きのこ研究者はロマンを抱えて/2.天気の予測は可能?
第3章 博士になるまで
1.本がきっかけで、博士になるパターン/2.授業がきっかけで、博士になるパターン/3.最初から、博士になりたいと思っているパターン/4.先生に薦められて、そのままパターン
第4章 実際、どうやって暮らしているの?
1.理系研究者の休みのない日々/2.大学院生は、どうやってお金を工面しているのか
第5章 恋愛・結婚・子育てとの両立って、可能なのか……?
1.博士、出会いがない問題をどうするのか問題/2.そして、博士、いつ結婚するのか問題/3.さらに、博士、子育てになると大変すぎる問題/4.そして、博士はどうバランスをとるのか問題
第6章 博士、どこへ行くのか
1.大学で研究している寺上さんの場合/2.独立法人で研究を続ける大谷さんの場合/3.国家公務員になったあと、大学に戻って研究している久保さんの場合/4.企業で研究を続ける伊藤さんの場合
第7章 社会で「博士」はどうなっていくのか?
1.なぜ博士は増やされたのか?/2.アカデミアの「外」に出る選択肢/3.イノベーションを起こす専門性
第8章 働きながら「博士」として生きる
1.なぜ働いていると哲学の本が読めなくなるのか/2.複数のボキャブラリーのために/3.参与観察としての就職
第9章 企業は「博士」をどのように見ているのか?
1.目標へのアプローチを重視したい/2.入社してから博士号をとるという選択肢/3.レジリエンスこそが大事
おわりに 時間をかけていく――博士号という通過点と「イノベーション」

ブックリスト 本書に登場した専門分野を知るための本
ブックガイド 三宅香帆が博士後期課程に進みたい人に薦める本

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