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文化人類学の思考法 (電子書籍)

文化人類学の思考法
フォーマット:
電子書籍 単行本
著者 松村 圭一郎
中川 理
石井 美保
ジャンル 人類学・民俗学
出版年月日 2019/09/13
判型・ページ数 4-6・224ページ
定価 1,980円(本体1,800円)

この本に関するお問い合わせ・感想

あたりまえを疑う。言うは易しだが、これが思うようにできない。手ぶらでやろうとすると気づかぬうちにかつての「あたりまえ」のなかに囚われてしまう。生活のあたりまえ、男女のあたりまえ、会社や仕事のあたりまえ、経済や文化のあたりまえ、国家のあたりまえが劇的に変わっていこうとしているなか、これまでの「あたりまえ」から出ていくためには、優れた道具が必要となる。

文化人類学は「これまでのあたりまえ」の外へと出ていくための「思考のギア(装備)」だ。本書はその最先端の道具が一式詰まった心強い「道具箱」だ。こんなに「使える」本は滅多にない。ビジネスマンからクリエイター、学生まで、下手な実用書を買うくらいなら、これを常備しておくことをおすすめする。

WIRED日本版元編集長・若林恵氏


カバーデザインは、BOOTLEG(スープ・デザインより商号変更)の尾原史和氏
本の内容にあわせて、視点を変えるといろいろなものに見えてくる図形を掲載。
さわって開くとわかる、「あたりまえ」を覆すカバー。

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はじめに(抜粋)

考えるって、めんどうくさい。限られた人生、細かいことは気にせず、ぼぉっと気楽に生きていたい。学問を仕事にしていても、ときどきそう思うことがある。

毎日、テレビやインターネットから、たくさんの情報が降り注いでくる。あきれてしまう報道も多い。なんでそうなるんだ、と怒りが込み上げてくる。そんなとき、どうすれば世の中が少しはましになるのか考えなければ、という気になる。でも同時に、考えてもしかたない、何も変わらない、聞かなかったことにしよう、と誘惑する声も聞こえてくる。

考えるためには、時間の余裕が必要だ。気力や体力もいる。でも、それだけではない。なにより、筋道をたてて思考するための「方法」がいる。うんうんとひとりで頭をひねりまわしても、考えは深まらない。

考えるために役立つ道具箱をつくりたい。しかも、文化人類学というユニークな学問が育ててきた思考の道具がたくさん詰まった道具箱を。この本は、そんな思いで編集された。

(webマガジン「せかいしそう」で、「はじめに」を全文読めます)
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「あたりまえ」の外へ

若林恵(編集者・黒鳥社)


世の中はいろんな「あたりまえ」でできている。色んなことを「あたりまえ」に思っているから日常生活を円滑に執り行うことができる。けれども世の中が変わっていくと、その「あたりまえ」が通用しなくなっていったりする。そこで、何かがおかしい、とは感じるけれども、その「おかしい」の正体を突き詰めることはなかなかできない。

これまでの「あたりまえ」が通用しないのなら、その「あたりまえ」を一回外から眺めて検証しないといけない。けれども「あたりまえ」を「あたりまえ」と思っているうちは、その「あたりまえ」を疑うことはできない。

あたりまえを疑う。言うは易しだが、これが思うようにできない。手ぶらでやろうとすると気づかぬうちにかつての「あたりまえ」のなかに囚われてしまう。生活のあたりまえ、男女のあたりまえ、会社や仕事のあたりまえ、経済や文化のあたりまえ、国家のあたりまえが劇的に変わっていこうとしているなか、これまでの「あたりまえ」から出ていくためには、優れた道具が必要となる。

文化人類学は「これまでのあたりまえ」の外へと出ていくための「思考のギア(装備)」だ。本書はその最先端の道具が一式詰まった心強い「道具箱」だ。こんなに「使える」本は滅多にない。ビジネスマンからクリエイター、学生まで、下手な実用書を買うくらいなら、これを常備しておくことをおすすめする。
はじめに すべての考える人のために

序  論 世界を考える道具をつくろう  (松村圭一郎・中川理・石井美保)

第I部 世界のとらえ方

 1 自然と知識――環境をどうとらえるか?(中空 萌)
 2 技術と環境――人はどうやって世界をつくり、みずからをつくりだすのか(山崎吾郎)
 3 呪術と科学――私たちは世界といかにかかわっているのか(久保明教)
 4 現実と異世界――「かもしれない」領域のフィールドワーク(石井美保)

第II部 価値と秩序が生まれるとき
 5 モノと芸術――人はなぜ美しさを感じるのか?(渡辺 文)
 6 贈り物と負債――経済・政治・宗教の交わるところ(松村圭一郎)
 7 貨幣と信用――交換のしくみをつくりだす(深田淳太郎)
 8 国家とグローバリゼーション――国家のない社会を想像する(中川 理)
 9 戦争と平和――人はなぜ戦うのか(佐川 徹)

第III部 あらたな共同性へ
 10 子どもと大人――私たちの来し方、行く先を見つめなおす(高田 明)
 11 親族と名前――関係している状態をつくるもの(髙橋絵里香)
 12 ケアと共同性――個人主義を超えて(松嶋 健)
 13 市民社会と政治――牛もカラスもいる世界で(猪瀬浩平)

参考文献
もっと学びたい人のためのブックガイド
索  引


○コラム
1 認識人類学の展開 分けることと名づけること(中空 萌)
2 ブルーノ・ラトゥール STSと人類学(山崎吾郎)
3 スタンレー・タンバイア 呪術・科学・宗教(久保明教)
4 合理性論争(石井美保)
5 岡本太郎 境界線を吹き飛ばす爆発(渡辺 文)
6 マルセル・モース 贈与論のその先へ(松村圭一郎)
7 貨幣の多義性(深田淳太郎)
8 フーコー権力論と人類学(中川 理)
9 日常的暴力と日常的平和(佐川 徹)
10 生業と子育て(高田 明)
11 あらたな親族研究の潮流(髙橋絵里香)
12 民族誌、実践誌、人類学(松嶋 健)
13 デヴィッド・グレーバー アナキズムと人類学(猪瀬浩平)

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