入門講義 倫理学の視座

本書で紹介する三〇の「例題」に代表されるような日常生活の中で浮かび上がってくる素朴な問いを倫理学的考察へと導くことにより、現実的諸問題と倫理学説との架橋を図り、「倫理学的に考える」ためのヒントを与える、新機軸の倫理学入門書。

まえがき
第１講　倫理学の問い
　第１節　問いの始まり／第２節　ソクラテスの死
第２講　絶対的価値は存在するか
　第１節　課題に伴う困難／第２節　人為（ノモス）と自然（ピュシス）
第３講　絶対的価値は存在しないか
　第１節　相対主義の諸問題／第２節　神々の争い
第４講　功利主義の基礎
　第１節　快楽主義の論理／第２節　功利性の原理
第５講　功利主義の諸問題
　第１節　行為功利主義と規則功利主義／第２節　全体の幸福と正義
第６講　功利性と道徳性
　第１節　快楽主義再考／第２節　行為の構造
第７講　カント倫理学の課題
　第１節　絶対的価値の探究／第２節　定言命法の導出
第８講　普遍化可能性の原理
　第１節　定言命法の論理／第２節　普遍化可能性の原理の限界
第９講　人格性の原理
　第１節　人格概念の由来／第２節　相互主体性の論理
第10講　道徳性の本質と限界
　第１節　自律と他律／第２節　人格性の原理の限界
第11講　道徳という制度
　第１節　マッキーの道徳理論／第２節　制度と道徳
第12講　自由と道徳
　第１節　自由意志問題／第２節　カントの自由論
第13講　幸福と道徳
　第１節　カントの幸福論／第２節　現代パーソン論
第14講　愛と道徳
　第１節　責任倫理と心情倫理／第２節　閉じた道徳と開いた道徳
引用文献一覧／あとがき／人名索引／事項索引