電子書籍

プシコ ナウティカ (電子書籍)

イタリア精神医療の人類学

プシコ ナウティカ
フォーマット:
電子書籍 単行本
著者 松嶋 健
ジャンル 哲学・思想・宗教
出版年月日 2022/01/14
Cコード 3047
判型・ページ数 A5・484ページ
定価 6,380円(本体5,800円)

この本に関するお問い合わせ・感想

【映画『急に具合が悪くなる』の物語全体を導く着想源】

第79回カンヌ国際映画祭でヴィルジニー・エフィラ氏と岡本多緒氏が〈最優秀女優賞〉をダブル受賞した、濱口竜介監督の最新作『急に具合が悪くなる』。

本書は、その劇中劇の着想源であるだけでなく、映画全体を貫く思想的背景としても注目を集めています。

濱口竜介監督は、本書に記された「〈人間〉に対するアニミズム」という言葉が、映画の物語を紡ぐ際の大きな指針になったと語っています。

本書は、人間とは何か、社会とは何かを根底から問い直す、文化人類学のロングセラーです。

 

【この本でわかること】

なぜ精神病院は廃絶されたのか

「正常」と「異常」は誰が決めるのか

なぜ人は他者を排除してしまうのか

地域のなかで共に生きるとはどういうことか

「人間を魂を持った存在として扱う」とはどういうことか

【内容紹介】
なぜ精神病院を廃絶したのか。
精神病院から地域への移行で何が生じたのか。
地域精神保健サービスの現場で、いま何が行なわれているのか。
本書は、文化人類学者・松嶋健が、イタリア北東部トリエステで行った長年のフィールドワークをもとに、精神病院廃絶後の地域精神保健の実践を描いた研究書です。
1978年、イタリアでは精神病院の新設と入院を原則禁止する画期的な法律が成立しました。
そこで問われたのは、「精神障害者をどう管理するか」ではなく、「人間として共に生きるとは何か」という問いでした。
本書は、その歴史と現在をたどりながら、人間の尊厳と共同性について深く考察します。

【なぜ今、この本なのか】
効率化、管理、分断。
現代社会では、人を属性や役割で判断することが当たり前になっています。
そのなかで本書が描くのは、「問題を抱えた人」を隔離するのではなく、地域のなかで共に生きるという実践です。
本書に記された
「近づいてみれば、誰もまともな者はいない」
という言葉は、イタリア精神保健運動を象徴する有名なモットーです。
それは同時に、「正常」と「異常」を分け続ける現代社会への根源的な問いかけでもあります。



【濱口監督の推薦文】
松嶋健さんの、イタリア地域精神保健をめぐるフィールドワークから編まれた強靭な思考。私は本書で初めてフランコ・バザーリアというイタリア精神医療の改革者を知って、静かな、深い衝撃を覚えた。
それがそのまま『急に具合が悪くなる』の劇中演劇の題材となっている。
それのみならず介護施設を舞台とする、原作から大いに飛躍した映画の物語を紡ぐ際に、本書が示す「〈人間〉に対するアニミズム」という言葉が、ひとつの大きな指針となった。
私たちの社会は、そもそも人間を魂を持つ存在として扱っているか?

――濱口竜介





各誌書評より
「数えやすく御しやすい「正常」な人間像がガラガラと崩れていく感覚が気持ちいい。」―― 藤原辰史『朝日新聞』2021年4月3日



イタリアの精神医療の歴史、とくに地域精神保健の成立と精神病院の撤廃に関する最も優れた日本語の記述である。〔中略〕必読の1冊
――鈴木晃仁『こころの科学』2015年2月号

「施設=制度」の内と外で、一人で一緒に生きようとするすべての人に薦めたい。
――廣瀬浩司『みすず』2015年1-2月号


【ためしよみ公開中】
濱口竜介監督が惹かれた思想の入口を読む


【映画特設ページ公開中】
濱口監督コメント全文、岡本多緒さんコメント動画など。

■映画情報

『急に具合が悪くなる』
6月19日(金)TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー
出演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代
監督・脚本:濱口竜介
原作:宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社)
配給:ビターズ・エンド
製作:Cinefrance Studios、オフィス・シロウズ、ビターズ・エンド、Heimat Film、Tarantula
フランス=日本=ドイツ=ベルギー合作
©2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm
– Tarantula & Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/soudain/

はじめに:「ものがある」という経験

序章 精神医療をめぐる「生」の人類学

第I部 イタリア精神医療の歴史と思想
第1章 イタリアにおける精神医療の展開
第2章 フランコ・バザーリアの思想とその実践

第II部 イタリア精神保健のフィールドワーク
第3章 病院から出て地域で働く
第4章 主体性を返還する
第5章 一人で一緒に生きる
第6章 〈演劇実験室〉と中動態
第7章 歓待の場としての「わたし」と「地域」

終章 生きているものたちのための場所


参考文献
索 引

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